基準日程生産計画MPSと資材所要量計画MRPの位置付けMPS
基準日程生産計画MPSとは
基準日程生産計画 MPS (Master Production Schedule)とは
基準日程生産計画の対象は完成品です。基準日程生産計画は受注情報・内示・フォーキャストと製造計画をつなぐクッションの役割を果たします。
すなわち、受注情報・内示・フォーキャストどおり生産すると製造負荷が暴れて安定した生産ができません。この製造負荷の暴れを緩和するように基準日程生産計画を作成します。
ここで基準日程生産計画の作成時に必要となるのが
①製造しやすい適正ロット構成を行う。
②負荷バランスを平準化する。数量平準化、前倒し生産など
③内示情報・フォーキャストの振れに対して安全在庫を考慮する。
④計画在庫MTS(Make To Stock)の作成
基準日程生産計画MPSの手法
①製造しやすい適正ロット構成を行う。
適正ロット構成の必要な理由は、
・製造ロット大きいと前倒し生産ができません。大ロットはロット分割が必要。
・生産実績を上げるときにロットが大きすぎると生産進捗および在庫の反映が遅いです。経験的にロットの大きさは1日の生産数の1/3以下がよいです。
②負荷バランスを平準化する。数量平準化、前倒し生産など
・負荷は個数で管理するのが一般的です。時間管理は難しい。
・かんばん生産でも基準日程生産計画は作成され、日別パー割り処理はまさに個数平準化を行うためのものです。
・基準日程生産計画の平準化はスケジューラを使用する場合でも、とても重要でスケジューラの前に事前負荷調整されていれば、スケジューラも容易に実行できます。
③内示情報・フォーキャストの振れに対して安全在庫を考慮する
・顧客からの内示の振れは自動車産業で10-15%くらい。
・フォーキャストは自社営業が作成するのが一般的。自社営業のため営業自身の安全のため実際より多めになることが多い。
・安全在庫は需要量により常にメンテナンスする必要があります。
④計画在庫MTS(Make To Stock)の作成
・計画在庫MTSは伝統的な生産戦略で、特に見込み生産タイプの企業で有効です。
・計画在庫MTS の有効性は、需要を正しく予測することに完全に依存しています。
資材所要量計画MRPとは
資材所要量計画MRP (Material Requirement Planning)とは
資材所要量計画とは、基準日程生産計画を基に購入品・製造品の正味所要量を計算します。
わかりやすく言うと、今後出荷される数量より有効在庫引当てをして、今後の仕掛品、完成品の生産すべき数量および購入品の発注数量を計算します。
総所要量 = 総需要量
正味所要量 = 総所要量- 有効在庫
購入品有効在庫 = 現在在庫 + 発注済数- 消費予定数- 安全在庫
仕掛品有効在庫 = 現在在庫 + 生産予定数- 消費予定数- 安全在庫
完成品有効在庫 = 現在在庫 + 生産予定数- 出荷予定数- 安全在庫
SimLexの資材所要量計画MRPの機能
上記のように2つのタイプの管理について、所要量計算します。(混在可)
・製番管理(Lot Control Type)は受注にひも付いた生産で在庫引当なしで各工程同一ロットサイズで生産する方式。
・在庫引当型管理(MRP Type)はすべての工程で在庫引当てし各工程の作りやすいサイズで生産。
② SimLexの所要量計算のためのパラメータ設定
パラメータ名 | 内容 |
所要量計画の期間 | 開始日は当日で最大1年間可能です。設定の必要はなく自動 |
確定期間と内示期間 | 製造品・外注品・購入品の品目単位に確定期間と内示期間を設定でき、確定オーダ・内示オーダを作成 |
リードタイム | 製造リードタイム、搬送リードタイム(スケジューラのみ対応)、受入リードタイム、発注リードタイムなどの設定可能 |
オーダ方針 | 「ロットまとめ」、「日数まとめ」、「ロットまとめ+日数まとめ」いづれかを選択 |
ロットサイズ | 発注ロットサイズ(SOQ)、最小ロットサイズ(MOQ)、経済的ロットサイズ(EOQ)を設定 |
まとめ日数 | まとめ日数を設定 |
安全在庫 | 品目単位に安全在庫を設定 |
③SimLexの所要量計算の手順 (難しいので参考程度としてください)
④SimLexのMRPシミュレーション機能
・通常のMRPは基準日程生産計画に基づいて実行されますが、MRPシミュレーションは基準日程生産計画と、 基準日程生産計画にまだ登録されていない新規の顧客受注に基づいてMRPのシミュレーションができます。
・新規の顧客受注について、在庫の有無や部品の不足を即座に判断できます。
SimLex Developmet Co., Ltd. 古賀 敏生
九州大学を卒業後、大手ベアリング会社に就職し生産技術研究所にて工程設計を経験し、38才で独立後スケジューラ・生産管理システムを中心とした開発・販売を実施した。その後、タイにてSimLex Development Co., Ltd.を設立し、0ベースよりERP・生産管理システム・会計システムを開発・販売し現在に至る。