海外で生産管理を実施していく上で注意すべきことをできるだけ知っていただくために本入門を作成しています。海外では思わぬことに遭遇して大きな問題に発展することがあります。
この入門コーナーでは、SimLexシリーズ開発・導入に至る過程で判明した、あるいはきっかけになった日本とタイの生産管理の在り方・違いを分かりやすく紹介してまいります。これだけは最低限知っておいてほしいというものを、業務の視点から紹介しています。
タイ進出を検討される皆さま、あるいはタイ法人のある皆さまの一助となれば幸甚です。

日本では生産計画と工程管理、タイでは在庫管理と金銭上の勘定 日本で言う生産管理は、生産計画と工程管理の二つに重点が置かれており、経理と組織が分離しているため会計のことを考える生産管理担当者はほとんどいません。 ところが、タイで必要とされているのは在庫管理と金銭上の勘定で、生産管理担当者は会計との結び付きを常に意識する必要があります。 タイでは、管理を行うための目的と土俵が日本と大きく異なるのです。 背景には、在庫管理がきちんと行われていないという現実があるとされています。 日々、入庫や出庫が繰り返され、システムによって管理されている在庫。ところが、ここにミスが多発します。在庫の動きが正確に把握できないのです。 システムへの入力に不慣れという面もあるでしょうし、個人的なスキルもあるでしょう。 はたまた盗難・紛失といった別の問題も…。 システム上にある数字と現実の在庫が一致しないことはタイでは決して珍しいことではありません。 そこで月毎に棚卸を実施し、在庫を合わせる作業を行うというのがタイにおける一般的なスタイルとなっているのです。 タイでは生産管理は会計との連動が重要 それは反面、Invoiceなどドキュメント類に依拠せざるを得ないという結果にもつながります。在庫とドキュメントを一つずつ結び付けて管理するという方法です。 日本であれば、煩わしくてとても採ることはできませんが、タイではこのようにして運用が行われています。生産管理と会計との結び付きが強い海外では、ドキュメントがなければ在庫すら動かすことができません。 これが、当地における生産管理の現実となっているのです。 日本人・タイ人とも生産管理の人材不足 日本で言う生産管理業務を行うことができる専門家がタイにはほとんどいないという点も、日本との違いを決定付けています。 勤務先から駐在を命じられた日本人社員は多くは技術者か営業職の方々。とても専門的な生産管理業務までは及びません。 一方で、タイ人側も同様で、高度な生産管理の経験を持つ従業員はほとんどいません。加えて言葉の壁もあります。 日本のシステムをそのまま持ち込んで、生産管理システムが稼働しないことはもはや明らかと言えるでしょう。
生産管理の基本的マスター マスターとは、業務を遂行するために企業内に設置されたデータベースなどの基礎情報のことを指します。 商品や原材料に関わるもの、給与に関わるもの、顧客に関わるものなどさまざまな種類がありますが、マスター構築はタイにおいても生産管理を行う上で必要不可欠と言っても過言ではありません。 事業を立ち上げるにあたり、最も重要な作業ということになります。 タイで生産活動を行うにあたり最低限必要なマスターとして、次の4つを挙げることができます。すなわち、 ①カスタマー(顧客)マスター、 ②サプライヤー(支払先)マスター、 ③アイテム(品目)マスター、 ④ストラクチャー(部品表)マスター です。 重要なマスターである品目マスターと部品表 ①の顧客と②の支払先は文字どおり販売先と購入先をそれぞれ指します。特に重要となってくるのが③の品目と④の部品表です。 ③の品目の主な入力項目としては、購入品、材料、完成品、仕掛品などが挙げられます。入力点数は企業の規模によって時に10万点を優に超える場合もあります。 とても大変な作業ですが、これがしっかりとできていませんと、次のステップには進めません。 ④の部品表(Structure Bom)の入力作業では、③で登録したデータにアッセンブリを含めた生産工程の流れなどを付加していきます。 購入した原材料や部材、仕掛品がどこでどのように流通しているかが、ツリー状で一目で分かるようにしていきます。 すると、生産との紐付けが明瞭となり、原価表との関連性もはっきりと見えてきます。 こうして初めて生産現場を把握・管理することが可能となります。部品表は「生産管理の命」とも表現されています。 マスター構築のタイ人スタッフの人材不足
高度な計算や算術を必要としない国 幼少のころより緻密な算術の訓練を繰り返してきている日本人などとは違い、海外ではそれほどの高度な計算や算術を必要としない国や地域が少なくありません。 タイもそれに近い国の一つと言え、こうした実情がデータの入力作業の場面で問題となるケースが後を絶ちません。 データチェックの重要性 まず、データの入力作業にあってはチェック業務がとても重要になってきます。 入力後の確認を任意や人任せとするのではなく、システムとして導入する必要があります。 その日に入力したデータを紙や画面などのアウトプットし、一つ一つ確認することが重要です。 目に見える形で間違いを直していくという方法が、予防法としては効果的です。 チェックが容易なシステムの導入 次に、作業工程(プロセス)をあまり重要視しない民族性にかんがみ、入力や作業手順にミスが生じた場合に備えて、その履歴(記録)が残るシステムを導入しておく必要も求められます。 赤黒処理という概念が乏しく、ともすれば「最終的に間違っていなければ問題はなかろう」という感覚がタイに多い感覚です。 民族性に優劣などは決してありませんが、これでは同様のミスは一向になくなりません。 再発防止のために履歴を残したり足跡を検証する習慣がそもそも少ないのですから、これをシステム上で補っていく必要があります。 入力や手順にミスがあってもその操作履歴が残るシステムに切り替えていれば、おのずとミスに気付き、次に同じ間違いをしないようになっていきます。 その計算の目的や理屈なども順次、理解できるようにもなるでしょう。 タイ人はこうだと決めつけずに、間違いを発見しやすくなる次善の策を講じることが大切です。 入力ミスの対策は地道な努力が必要 ①入力データはアウトプットして一つ一つ、毎日確認。これに近道はありません。 ②作業履歴が残るシステムを導入する。
受注タイプによる管理の型 タイで工場を運営する場合に、どのような生産管理の型を採用するかも極めて重要な要素となります。 管理型を間違えてしまいますとシステムがうまく稼働しないばかりか、不要な在庫に悩まされることも少なくありません。 受注面から見た場合、それは大きく次の3つに分類されます。 ①見込みタイプ(繰り返し性あり) ②受注生産タイプ(繰り返し性あり) ③個別受注タイプ(繰り返し性なし) 一方、生産工程における運用面からこれを見ますと同様に次の3つに分かれます。 (a)MRP型(中間仕掛在庫あり) ①②に適用 (b)製番管理型(中間仕掛在庫なし) ①②③に適用 (c)上記aとbのミックス型 ①②に適用 (d)ジャストインタイム生産システム(カンバン生産方式) このうち特に意識して欲しいものが、後段の類型区分のうちの(a)のMRP型(MRP Type)と(b)の製番管理型(Lot Control Type)の違いです。 管理の型と在庫管理 MRP型は加工業に多く、生産が困難な工程が多い現場に主に採り入れられています。 一方、製番管理型はロットによるひも付きが特徴的で、組み立て業などに多いタイプです。 部品の共用化が進んだ①の量産工程タイプはMRP型と、③の個別受注生産タイプは製番管理型と、それぞれ親和性があります。
見積書→顧客注文書→納品書→請求書→領収書の流れ 顧客との取り引きを行うにあたり、発注や工場からの出荷、会計処理までの間に発生・交換される主な書類の流れを時系列に挙げますと、おおむね次のようになります。これについては、日本においてもタイにおいても大きな違いはありません。 見積書→Customer P/O(注文書)→Delivery Note(納品書)→Invoice(請求書)→Receipt(領収書) 分納とまとめ出荷 実際の取引現場では、ここに、生産ラインの現状に応じた分納による出荷や、複数枚のP/Oをひとまとめとした同時出荷といった運用が弾力的に加わります。つまり、P/OとDelivery Noteの実数(M:N)が一致しないといった現象が、日常的にごく普通に発生します。 生産管理と会計システムを明確に分離している日本の生産現場では、こうした現象が発生しましても何ら問題はありません。しかし、Invoiceの発行に出荷基準を採るタイではそうもいきません。ここにシステム構築の難しさや不正が潜む原因がとされており、入念な対策が必要となります。 一連のドキュメントの保存 タイでは見積書から領主書の発行・受領まで関連する書類をひとまとめに管理する運用が、税務当局から求められています。このため、ひとたびP/OやDelivery Noteに入力ミスや計算間違いが確認された場合は、全ての書類に影響が及んできます。 しかも、それらの書類の入力・修正作業は、日常的に限られたタイ人事務担当者の管理下にあります。処理が間違えば納税ミスが発生するだけではなく、故意や著しい過失と判断された場合には法人に対し罰金が課されることさえあります。日本人の上司が気付いたころには、もう遅いといったケースも少なくありません。 これらを防止するために必要なのが、確認・報告ルールの仕組み作りのほか、ソフトウエア上でのマネジメントです。全ての入力や修正の記録が残るシステムの導入が何よりも大切です。折に触れた専門家のアドバイスも求めると良いでしょう。
生産指示発行ポイントと在庫把握ポイントの一致性 在庫管理ポイントは、生産指示発行ポイントと在庫把握ポイントが一致したものでなくてはなりません。 在庫を把握するためには実績を漏れなく把握していく必要があり、数量(良品数、不良数)、ロットNo、生産時間、資材消費品目の消費量及びロットNoなどをシステム上の端末に正確に入力していくことが重要です。 これらがしっかりと入力されていませんと、在庫が合わないという事態が発生し、正しい在庫の管理ができません。在庫を管理する上での最も基礎的で重要な作業となります。 細かすぎる在庫管理ポイントは運用倒れ ここで問題となってくるのが、在庫管理ポイントをどのようなメッシュで設定するかという点です。 往々にして製造管理の立場では、品質向上や設備稼働率向上を考えるため、在庫管理管理ポイントが細かくなりすぎる傾向があります。 ところが、こうした細かい在庫管理ポイントを採用しますと、生産指示書の印刷工数や入力工数が膨大になりすぎます。 生産管理での在庫管理メッシュと製造管理の管理メッシュが違うということを意味します。 入力頻度が増すということは、ミスの可能性が高まるということも意味し、入力後のチェック作業量も増加していきます。 在庫管理ポイントの目安 在庫管理ポイントの目安として、以下のように考えられます。 ・前後工程での設備が違っている。(工程バランスが取れていない) ・前後工程で、シフトが違っている。 ・組立工程である。 ・リードタイムが長い。 在庫管理メッシュをどこに設定するかで在庫管理が効率的機能的に運用できるかが変わってきます。粗すぎても精度の面で問題がありますが、生産工程ごとに細分化し過ぎても実際の運用が追いつきません。適宜な在庫管理ポイントのあり方が求められています。 なお、バーコードシステムの導入によって、メッシュの問題が解決するかのような誤った理解がありますが正しくはありません。 バーコードシステムは入力のミスを軽減するためだけのものであり、これによって読取る機会と労力がなくなるわけではありません。
適切な在庫管理ポイントと現品票 在庫管理の精度を高めていくには、まず、管理ポイントのメッシュが適切に設定され、運用可能なレベルにあることが大前提となります。 そのうえで、あらゆる現品に対し現品票が備えられていることが必要になってきます。 現品票とは全ての現品(原材料、部品、中間仕掛品、完成品のこと)について、それが、いつ、どこで作られ(購入され)、今、どこに、どれくらい所在するのかを取りまとまるための伝票です。品目コードやロットNoなどで管理され、現品の所在位置と数量を正しく把握するためには欠かせないものです。 現品票による管理がしっかりと機能していなければ、棚卸在庫とシステム上の在庫の間に齟齬が生じ、在庫管理も絵に描いた餅となってしまいます。 また、置場所の整理も重要で、置場が決まっていないなどは論外です。 入出庫履歴によるチェック これらがきちんと行われて初めて、日々の入力に対する検証作業が大きな意味を持ってきます。 入力したデータの照合はその日のうちに行うことが求められます。リストアウトして、それが正しいかどうかを確認します。 ミスが人為的に修正・変更されることを防ぐために、入出庫履歴が残る仕組みの導入も必要です。 棚卸在庫とシステム実際在庫との差異管理 検証作業は最終的には、人の手で行う以外にありません。バーコードシステムの導入によって作業の大幅短縮が可能となるかの「仮説(あるいは神話)」が一部にありますが、バーコードシステムの導入したとしても検証作業は必要です。 在庫の検証作業に王道はありません。棚卸在庫とシステム上の在庫に差異が生じた場合に、どこから手を付けて良いのかさえも、分からない事態となってしまっては手遅れです。そうならないためにも、在庫の不一致の理由や原因が一目で分かるシステムの構築が重要となってくるのです
様々の目的のための在庫 在庫の種類には、次のものがあります。 ・現在在庫(リアルタイムで確認できるシステム上の在庫) ・棚卸在庫(月次在庫とも。現品確認できる実際の在庫) ・有効在庫(=現在在庫+発注残(生産残)-消費予定数-安全在庫) ・理論在庫(将来のある時点での有効在庫) ・在庫台帳 (Stock Card) 有効在庫 上記のうち有効在庫はMRP(資材所要量計画)で利用され、生産管理を行うために有益な概念で知られています。発注残(生産残)とは、Purchase P/Oが発行されている、生産指示発行されているものを指しています。 理論在庫 理論在庫は有効在庫の一種と考えることができますが、利用は限定的です。将来のある時点における計画立案の際などに使用されることが多く、受注変動や発注量などの面で変動の激しい品目には向いていません。 在庫台帳 (Stock Card) タイでは、会計上で必要とされる在庫です。Stock Card (在庫台帳)とは
基準日程生産計画(MPS Master Production Schedule)とは 基準日程生産計画は、完成品の必要数と必要日決める生産計画のことで、基準日程生産計画をなぜ必要とするのかの理由は以下のようになります。 ・受注に合わせて生産を行うのが普通ですが、受注に合わせた生産では生産の負荷平準化ができない。 ・受注数が多すぎるため、分割生産を行いたい。 ・安全在庫を持ちたい。 ・需要予測分の先行生産を行いたい。 すなわち、基準日程生産計画は受注と生産の間を埋めるクッションの役割を果たします。 基準日程生産計画の平準化処理 基準日程生産計画の平準化を行う手法はいろいろありますが、日別に完成品数量の平準化が一般的です。 代表的なものはカンバン生産における日別パー割り処理です。カンバン生産でも基準日程生産計画は、生命線となる処理なんです。 資材所要計画(MRP Material Requirement Planning)とは MRPでは、基準日程生産計画を元に、在庫引当てを行って、生産数・生産日または資材必要数・必要日を計算する処理です。生産管理では古くか知られている処理で、今でもたいへん有効な処理です。 MRPにはオーダ方針があり、日数まとめ・ロットまとめ・仕損率・安全在庫などの設定があります。 海外での基準日程生産計画とMRPの適用について
一般的な生産計画のステップ 一般的な生産計画のステップは、受注入力→①基準日程生産計画(日別数量平準化)→②MRP(オーダ方針)→③差立て計画→生産→出荷のようになり①②③項を総称して生産計画となります。 ①第9回 基準日程生産計画(MPS Master Production Schedule)とはで述べています。 ②第9回 基準日程生産計画(MPS Master Production Schedule)とはで述べています。 ③差立て計画は、いつ(日時)・どの設備で・どのような順序で生産するかを計画します。この計画に対応できるソフトウエアは生産スケジューラです。 海外での生産計画 ①の基準日程生産計画の日別数量平準化については、海外ではExcelを使って編集することが多いです。自動化処理は日本においてもかなり難しいです。 ②のMRPについては、基準日程生産計画の日別数量平準化・在庫精度・オーダ方針がそろっていれば、大きな問題はなくコンピュータで処理できます。 ③差立て計画は、いつ(日時)・どの設備で・どのような順序で生産するかを決めますので難易度かかなり高いです。 海外での差立て計画と生産スケジューラ 日本でも海外でも、差立て計画として生産スケジューラを使用するには、作業者リーダクラスの知識をマスタ化しなければなりません。 作業者リーダクラスの知識とは、以下のような内容です。
どんなところにバーコードシステムを利用可能か バーコードシステムは、入力の精度向上や入力工数の削減のために利用されています。 バーコードシステムが適用されるのは、以下のような処理です。 ①生産実績の入力(良品数、不良数、消費数、生産時間など) ②出荷実績の入力 ③棚卸在庫の入力 ③資材の払出しの入力 ④購入品・外注品の受入数入力 ハンディスキャナーの種類 ハンディスキャナーは、大別して3種類あります。使用方法と目的に合わせて選択する必要があります。 ①Windows OSを内蔵するハンディスキャナー。かなり高価ですが、直接データベースと無線LANで接続します。リアルタイムの処理が可能です。 ②専用OSを内蔵したハンディスキャナー。Textファイルよりシステムに取込みます。リアルタイムにデータ取込みができません。 ③携帯電話の端末よりデータ入力。携帯端末ですので安価ですが、リアルタイムにデータ取込みができません。将来性は大変有望です。 ハンディスキャナーは特性がありますので、ソフトウエアの会社と良く相談する方がよいです。 バーコードシステムでの落とし穴 よくバーコードシステムで失敗した例を耳にします。そのほとんどがシステムの目的を見失った例です。 バーコードシステムの目的が生産管理なのか、製造管理なのか、品質管理なのかです。 それぞれ戦略が違うのに、バーコードシステム中にすべて押し込んで、運用ができなくなってしまうのです。 生産管理、製造管理、品質管理それぞれ収集したデータのフィードバックする部署が違うからです。
原価管理の役割 原価管理としての役割は、標準原価を定期的に計算し、実際原価との差異を計算しその原因を追究して経営情報につなげる。 最終的には会計情報につなげる必要があります。 ところが海外では在庫把握でさえできていない企業がほとんどで、とても原価管理まで到達できていないのが現状です。 特に、実際原価計算に必要な資材在庫金額(RM Raw Material)・完成品在庫金額(FG Finished Goods)・中間仕掛品在庫金額(WIP Work in Process)の在庫金額の把握はほとんど出来ていません。 まずは標準原価から 標準原価では、原価構成の中でも直接経費や間接経費を算出する必要があります。どのように計算するかは企業によって異なります。 直接経費は作業者のチャージ金額×1単位生産する標準作業者工数で決まります。 海外では資材の場合、海外から購入する場合は為替レートを考慮して標準原価を決める必要があります。 難易度の高い実際原価 実際原価では、想定の標準作業者工数で計算するのに対し、実際作業者工数から計算しなければなりません。 すなわち、生産実績として作業時間と作業者工数をコンピュータに入力しなければなりません。これは大変なことです。 この作業時間を把握するためにバーコードシステムなどの導入が進んでいます。
ロットトレースの目的 ロットトレースの目的は、出荷された品目に何らかの品質上の問題が発生した時、生産ロットまたは原材料ロットを追跡し他のロットの影響状況を調査することです。 そして、ロットの影響状況が広範囲に及ぶ場合、製造会社の存続さえ脅かされることさえあります。したがって、ロットトレース機能の重要性は言うまでもありません。 ロットトレースを実現するための前提条件 ロットトレースを実現するためには、ロット別在庫管理が必須となります。ロット別在庫をシステム上で実現するために以下のようなこと実行しなければなりません。 ・原材料の入庫時に仕入先のロットNo.または受入ロットNo.と受入数をシステムに登録する。同時にロットNo.別に現品票を添付する。 ・生産完了時に使用された原材料と仕掛品のロットNo.と生産実績数をシステムに登録する。同時に生産ロットNo.別に現品票を添付する。 ・出荷時に完成品のロットNo.と出荷実績数をシステムに登録する。同時に出荷ロットNo.を出荷ラベルに添付する。 このように実績数とロットNo.常に入力する必要があるばかりでなく、ロット別に在庫管理と現品票を在庫ロットに添付する必要があります。 運用レベルはかなり高くなります。 生産管理システムに求められるもの ロット別在庫管理の運用レベル高いがゆえに生産管理システムに求められるものも高度になります。 ・システムがロット別在庫に対応していること。言うまでもありませんが。 ・ロットNo.の入力が簡単に出来ること。このためにバーコードシステムを利用することも有効です。 ・原材料ロットNo.と生産ロットNo.別の現品票をシステムから印刷できること。 ・出荷ロットNo.別の出荷ラベルをシステムから印刷できること。 ・ロットトレース機能をシステムが対応していること。完成品ロットからの正展開トレースと材料からの逆展開トレースが可能なこと。 以上のようなことがシステム要件ですが、それ以上にロット別在庫管理ができる運用体制が重要です。 このようにロットトレースと言っても、十分な準備をもって取組む必要があります。
タイで事業を開始する時、皆さんはどのようにシステム導入をされていますか。 タイ人任せ?それとも日本の本社の意向が色濃く反映される?そのような時に起こりうる短所と長所をまとめてみました。 パターン①「タイローカル主体で選定」 システムを実際に運用していくのは現地で雇用されたタイ人。端末入力を行うタイ人が選ぶのが一番いいという考え方です。 この場合、現地法人の日本人スタッフは承認の権限のみ。日本の本社は追認というのが基本的な構造です。 確かにそういった効用もあるでしょう。その方がタイ人スタッフも前向きにシステムに向き合うかもしれません。 ただし、それはタイ人の選定者に一定の知識があるという前提が必要になります。求められる専門の知識があるのかを日本人が見定めなくてはなりません。 さらに、このケースでは事業所の会計担当者の意向がどうしても強くなりがちです。 しかしながら、タイ人の会計担当者が生産管理にまで通じている例は極めてまれです。 その結果、生じるのは会計寄りのソフトウエアになってしまうということ。生産管理が後手に回るという現象が起こりうるのです。 場合によってはバックマージンが介在する余地すら生まれます。 パターン②「現地日本人主体で選定」 現地法人で働く日本人が主体となって選定し、タイ人スタッフの意向は参考意見にとどまるというのがこの区分です。 現場にある程度通じた駐在日本人が選ぶわけですから、日本の本社にも一定程度の安心感はあるでしょう。 日本人同士のコンセンサスも取れ、最も多い形態であるかもしれません。 ただ、ここで問題が一つ生じます。 日本から送られて来る現地駐在員は、労働許可証やビザなどの関係もあり最低限の人数。製造業なら製造の現場のみに通じた人がほとんどで、会計にまで精通した人も合わせて派遣される事例はあまり多くはありません。 生産管理と会計の両方に詳しい人が少ないというのが、このケースでのデメリットとして存在するのです。 さらに、せっかく現地の日本人が選んでも、それをタイ人スタッフが受け入れ、前向きに受け止めてくれるかは不透明です。 タイ側が求めるものと違うものが導入された場合、トラブルが起こりうる確率は決して低くはありません。
現地従業員と日本人と異なる作業効率や生産性 海外で事業を展開するとき、大きな悩みのタネとなるのが、現地従業員と日本人との作業効率や生産性の違いです。 生産現場の高度化・システム化で高度経済成長を乗り越えてきた日本では、従業員一人一人のスキルをどのようにアップし、それぞれが抱える複数の業務をどのように最適化できるかに関心が向けられてきました。<br> ところが、ここはタイ。歴史や文化も異なれば、会社で働くということはどういうことなのかといった考え方一つから大きく異なっています。 多機能化は混乱の原因 生産現場の未成熟な海外の市場では現場や個々人の能力に差があるため、まず業務を可能な限り単純化することが求められます。 複雑な組み合わせや多機能化は混乱の原因となりますので御法度。 日本にある業務スタイルを海外にそのまま持ち込んでも現場がこなせないばかりか、生産性の減退にもつながりかねません。 業務の単純化 タイなどの海外の市場にはそれぞれの現場にあった業務のあり方があり、それがまさに単純化というわけなのです。 在庫管理だけ、販売だけ、Invoiceや領収書を発行するだけ。 そういった細分化された仕事を一人一人に対し、責任とともにキチンと割り振ることができるかに成否がかかっていると言えるでしょう。 単純化された業務の最適化 もちろん業務を細分化するだけでは十分ではありません。 今度は、これら細分化された業務や人を有機的に機能的に結びつけて、最適化する作業が必要となってきます。 これが、いわゆるマネジメント。単純作業を繰り返すだけのスタッフには見えない機能的なつながりを理解できる人材が、次ぎに必要となってくるのです。 ただし、こうした人材は一朝一夕に確保することはできません。中長期的な視野に立って、採用の計画を立てる必要があります。 会社組織は縦割りか横割りか 以上の論点は、会社組織は縦割りであるべきか、横割りであるべきかという議論にも通じてきます。<br> ある一握りの職人に業務が集中するような属人的な縦割り組織では、一時的ではあれ、会社は永続的にはもちません。
みなさんは在庫管理システムを導入する際に、何を基準にして選択されていますか。 実は在庫管理システムは様々な機能があり、なかなか奥深いものがあります。 一言で在庫管理システムを導入すると言っても、在庫管理システムにより機能の違いがあり注意を要します。 在庫管理システムの代表的な種類を、要求機能、必要マスタ、リンクモジュールに分けて整理したいと思います。 以上のように様々な在庫管理システムがあり、ソフトウェアを選択を間違えると有効な投資になりません。 上表をソフトウェア選択時のチェックリストとしてご利用いただければ、「まちがえない在庫管理システム選び」ができるのではないかと思います。 また、品目別現在在庫、ロケーション別現在在庫、有効在庫、棚卸在庫、ロット別在庫と賞味期限、Stock Card(在庫台帳)などの機能の有無も確認するようにしましょう。 特に、Stock Card(在庫台帳)では、先入先出法、後入先出法、平均法の機能が必要で、Invoce No.との紐付きも必要です。 「第 8 回 在庫の種類とロット別在庫について」参照

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