第13回 ロット別在庫とロットトレース

ロットトレースの目的

ロットトレースの目的は、出荷された品目に何らかの品質上の問題が発生した時、生産ロットまたは原材料ロットを追跡し他のロットの影響状況を調査することです。
そして、ロットの影響状況が広範囲に及ぶ場合、製造会社の存続さえ脅かされることさえあります。したがって、ロットトレース機能の重要性は言うまでもありません。

ロットトレースを実現するための前提条件

ロットトレースを実現するためには、ロット別在庫管理が必須となります。ロット別在庫をシステム上で実現するために以下のようなこと実行しなければなりません。

・原材料の入庫時に仕入先のロットNo.または受入ロットNo.と受入数をシステムに登録する。同時にロットNo.別に現品票を添付する。
・生産完了時に使用された原材料と仕掛品のロットNo.と生産実績数をシステムに登録する。同時に生産ロットNo.別に現品票を添付する。
・出荷時に完成品のロットNo.と出荷実績数をシステムに登録する。同時に出荷ロットNo.を出荷ラベルに添付する。

このように実績数とロットNo.常に入力する必要があるばかりでなく、ロット別に在庫管理と現品票を在庫ロットに添付する必要があります。
運用レベルはかなり高くなります。

生産管理システムに求められるもの

ロット別在庫管理の運用レベル高いがゆえに生産管理システムに求められるものも高度になります。

・システムがロット別在庫に対応していること。言うまでもありませんが。
・ロットNo.の入力が簡単に出来ること。このためにバーコードシステムを利用することも有効です。
・原材料ロットNo.と生産ロットNo.別の現品票をシステムから印刷できること。
・出荷ロットNo.別の出荷ラベルをシステムから印刷できること。
・ロットトレース機能をシステムが対応していること。完成品ロットからの正展開トレースと材料からの逆展開トレースが可能なこと。

以上のようなことがシステム要件ですが、それ以上にロット別在庫管理ができる運用体制が重要です。
このようにロットトレースと言っても、十分な準備をもって取組む必要があります。