第2回 マスタ構築、特に品目マスタと部品表
生産管理の基本的マスター
マスターとは、業務を遂行するために企業内に設置されたデータベースなどの基礎情報のことを指します。
商品や原材料に関わるもの、給与に関わるもの、顧客に関わるものなどさまざまな種類がありますが、マスター構築はタイにおいても生産管理を行う上で必要不可欠と言っても過言ではありません。
事業を立ち上げるにあたり、最も重要な作業ということになります。
タイで生産活動を行うにあたり最低限必要なマスターとして、次の4つを挙げることができます。すなわち、
①カスタマー(顧客)マスター、
②サプライヤー(支払先)マスター、
③アイテム(品目)マスター、
④ストラクチャー(部品表)マスター
です。
重要なマスターである品目マスターと部品表
①の顧客と②の支払先は文字どおり販売先と購入先をそれぞれ指します。特に重要となってくるのが③の品目と④の部品表です。
③の品目の主な入力項目としては、購入品、材料、完成品、仕掛品などが挙げられます。入力点数は企業の規模によって時に10万点を優に超える場合もあります。
とても大変な作業ですが、これがしっかりとできていませんと、次のステップには進めません。
④の部品表(Structure Bom)の入力作業では、③で登録したデータにアッセンブリを含めた生産工程の流れなどを付加していきます。
購入した原材料や部材、仕掛品がどこでどのように流通しているかが、ツリー状で一目で分かるようにしていきます。
すると、生産との紐付けが明瞭となり、原価表との関連性もはっきりと見えてきます。
こうして初めて生産現場を把握・管理することが可能となります。部品表は「生産管理の命」とも表現されています。
マスター構築のタイ人スタッフの人材不足
これまでタイでは、このような生産管理の方法はあまり採られてきませんでした。
月ごとに在庫を照らし合わす方法で十分とされてきました。
このため、上記のようなマスター構築に慣れた人材は少なく、構築作業には今でも長い時間と労力がかかるとされています。
ミスをなくすためのチェック体制も必要です。
タイに進出するにあたり、何を行いのかを明確にしたうえでマスター構築を進める必要があります。