第8回 在庫の種類とロット別在庫について

様々の目的のための在庫

在庫の種類には、次のものがあります。

・現在在庫(リアルタイムで確認できるシステム上の在庫)
・棚卸在庫(月次在庫とも。現品確認できる実際の在庫)
・有効在庫(=現在在庫+発注残(生産残)-消費予定数-安全在庫)
・理論在庫(将来のある時点での有効在庫)
・在庫台帳 (Stock Card)

有効在庫

上記のうち有効在庫はMRP(資材所要量計画)で利用され、生産管理を行うために有益な概念で知られています。発注残(生産残)とは、Purchase P/Oが発行されている、生産指示発行されているものを指しています。

理論在庫

理論在庫は有効在庫の一種と考えることができますが、利用は限定的です。将来のある時点における計画立案の際などに使用されることが多く、受注変動や発注量などの面で変動の激しい品目には向いていません。

在庫台帳 (Stock Card)

タイでは、会計上で必要とされる在庫です。Stock Card (在庫台帳)とは
をご参照ください。

ロット別在庫

ロット別在庫は、主に医療機器や医薬品、食品などの生産現場で用いられていますが、トレーサビリティー(追跡可能性)を実現するために多く生産現場で採用されています。原材料の段階からシステム上、紐付きで繋がっているのが特徴です。ただ、ロット別在庫の運用は現実的には運用がとても難しく、タイの製造業でも有効に導入がなされている事業所は決して多くはありません。綿密な打ち合わせとしっかりとしたシステムの導入が必要となります。

購入した資材と生産された完成品や中間品が、ロットNoを付されることで現品票に記録されます。不良品が含まれていた(発生した)場合に、どの発生原因であるロットの場所が一目で分かるのが特徴です。ロットが違えば原価計算にも影響が出てくるため、有用性は言うに及びません。