第11回 バーコードシステムについて

どんなところにバーコードシステムを利用可能か バーコードシステムは、入力の精度向上や入力工数の削減のために利用されています。 バーコードシステムが適用されるのは、以下のような処理です。 ①生産実績の入力(良品数、不良数、消費数、生産時間など) ②出荷実績の入力 ③棚卸在庫の入力 ③資材の払出しの入力 ④購入品・外注品の受入数入力 ハンディスキャナーの種類 ハンディスキャナーは、大別して3種類あります。使用方法と目的に合わせて選択する必要があります。 ①Windows OSを内蔵するハンディスキャナー。かなり高価ですが、直接データベースと無線LANで接続します。リアルタイムの処理が可能です。 ②専用OSを内蔵したハンディスキャナー。Textファイルよりシステムに取込みます。リアルタイムにデータ取込みができません。 ③携帯電話の端末よりデータ入力。携帯端末ですので安価ですが、リアルタイムにデータ取込みができません。将来性は大変有望です。 ハンディスキャナーは特性がありますので、ソフトウエアの会社と良く相談する方がよいです。 バーコードシステムでの落とし穴 よくバーコードシステムで失敗した例を耳にします。そのほとんどがシステムの目的を見失った例です。 バーコードシステムの目的が生産管理なのか、製造管理なのか、品質管理なのかです。 それぞれ戦略が違うのに、バーコードシステム中にすべて押し込んで、運用ができなくなってしまうのです。 生産管理、製造管理、品質管理それぞれ収集したデータのフィードバックする部署が違うからです。 生産管理におけるバーコードシステムの役割は、在庫管理と実際原価にデータを反映することです。最終的には会計に反映します。 製造管理におけるバーコードシステムの役割は、設備稼働率、製造条件、品質条件などを製造現場に反映することです。 このように目的に応じてバーコードシステムを構築する必要があります。

第12回 標準原価と実際原価

原価管理の役割 原価管理としての役割は、標準原価を定期的に計算し、実際原価との差異を計算しその原因を追究して経営情報につなげる。 最終的には会計情報につなげる必要があります。 ところが海外では在庫把握でさえできていない企業がほとんどで、とても原価管理まで到達できていないのが現状です。 特に、実際原価計算に必要な資材在庫金額(RM Raw Material)・完成品在庫金額(FG Finished Goods)・中間仕掛品在庫金額(WIP Work in Process)の在庫金額の把握はほとんど出来ていません。 まずは標準原価から 標準原価では、原価構成の中でも直接経費や間接経費を算出する必要があります。どのように計算するかは企業によって異なります。 直接経費は作業者のチャージ金額×1単位生産する標準作業者工数で決まります。 海外では資材の場合、海外から購入する場合は為替レートを考慮して標準原価を決める必要があります。 難易度の高い実際原価 実際原価では、想定の標準作業者工数で計算するのに対し、実際作業者工数から計算しなければなりません。 すなわち、生産実績として作業時間と作業者工数をコンピュータに入力しなければなりません。これは大変なことです。 この作業時間を把握するためにバーコードシステムなどの導入が進んでいます。 実際の在庫金額は会計に反映されます。

第13回 ロット別在庫とロットトレース

ロットトレースの目的 ロットトレースの目的は、出荷された品目に何らかの品質上の問題が発生した時、生産ロットまたは原材料ロットを追跡し他のロットの影響状況を調査することです。 そして、ロットの影響状況が広範囲に及ぶ場合、製造会社の存続さえ脅かされることさえあります。したがって、ロットトレース機能の重要性は言うまでもありません。 ロットトレースを実現するための前提条件 ロットトレースを実現するためには、ロット別在庫管理が必須となります。ロット別在庫をシステム上で実現するために以下のようなこと実行しなければなりません。 ・原材料の入庫時に仕入先のロットNo.または受入ロットNo.と受入数をシステムに登録する。同時にロットNo.別に現品票を添付する。 ・生産完了時に使用された原材料と仕掛品のロットNo.と生産実績数をシステムに登録する。同時に生産ロットNo.別に現品票を添付する。 ・出荷時に完成品のロットNo.と出荷実績数をシステムに登録する。同時に出荷ロットNo.を出荷ラベルに添付する。 このように実績数とロットNo.常に入力する必要があるばかりでなく、ロット別に在庫管理と現品票を在庫ロットに添付する必要があります。 運用レベルはかなり高くなります。 生産管理システムに求められるもの ロット別在庫管理の運用レベル高いがゆえに生産管理システムに求められるものも高度になります。 ・システムがロット別在庫に対応していること。言うまでもありませんが。 ・ロットNo.の入力が簡単に出来ること。このためにバーコードシステムを利用することも有効です。 ・原材料ロットNo.と生産ロットNo.別の現品票をシステムから印刷できること。 ・出荷ロットNo.別の出荷ラベルをシステムから印刷できること。 ・ロットトレース機能をシステムが対応していること。完成品ロットからの正展開トレースと材料からの逆展開トレースが可能なこと。 以上のようなことがシステム要件ですが、それ以上にロット別在庫管理ができる運用体制が重要です。 このようにロットトレースと言っても、十分な準備をもって取組む必要があります。